9月も下旬…

「9月に思う 船乗り時代」のアイキャッチ。船で鍋を振る料理人のイラスト 日記

9月も下旬に入ってきました。

今年の9月はいつ以来か覚えていないほど久方ぶりに秋らしい過ごしやすい日々が続いております。

この10年間、船に乗下船を繰り返していたのでまともに過ごせず気づいていませんでしたが四季の移ろいに目を向け、肌で変化を感じ取るとこんなにも心穏やかになるものなのかと感じ入っております。

船乗り時代は、決まった時期に乗下船や休暇というものはありませんでした。

あるとすれば毎年確定している航海予定で季節を確認できるというものぐらいです。

9月で思い出深い航海は北極域に行ったことでしょうか。船が北上するにつれ海の色が変化していき日本とは全く違う気候に変化していくさまを感じ取るのが好きでした。

初めて行った北極航海でオーロラを確認した時は言葉では言い表せないほど嬉しかったですね。夜中まで起き寒い甲板に出て連日確認してましたから。

船乗りになった時に行きたいと思っていた場所へ行き、見たかった景色を見ることができた。北極はそういった最高の経験の一つでした。一方で、長期航海には陸上ではなかなか想像しにくい生活があります。

長期航海になると当然ですが乗船者や乗組員は船から出ることが出来ません。船内にある娯楽も限りがあり一定の期間を過ぎるとみんな飽きてきます。

そんな中最初から最後まで変化を楽しめる数少ない娯楽は食事でした。船で食事を担当する部署は司厨部といいます。

司厨長、司厨手、司厨員から構成されていて私もこちらの部署でした。

長期航海になるとみんなが飽きないようにメニューを組むのが大変です。おまけに上は北海道から下は沖縄出身までまんべんなくいます。

特定の味付けをしてしまうと必ず不満が出るんですよね(。-`ω-)

カレーも甘口派、辛口派、中辛派とありますし、そばやうどんラーメンなんかも各地方色の好みが思いっきり出ます。

なので私が調理を担当しているときは90点は目指さず常に70点ぐらい、誰から見ても可もなく不可もなくといったところを目指していました。

足りないものはコンディメントで各自補ってねー、といった感じです。先にも述べましたが長期航海になると食事が本当に重要になります。そこで不満を感じさせることだけはしたくなかったんですよね。

乗組員とのコミュニケーションも司厨部の仕事をする上では重要になります。日頃から他部署の人間と気軽に話し合える関係を作っておくと好みの料理などを知ることが出来てメニューに組み込めます。各地域の郷土料理等を知れて自分の為にもなりますしね。円滑なコミュニケーションが取れると不満もはっきり言ってくれます。正直こちらの方が最初はありがたかったですね。船における食事の在り方、司厨部の大切さ、陸上の料理人との違いなどを知ることができましたから。

乗組員や会社には約10年間でしたが貴重な経験をさせてもらい感謝しています。

みんな各地に散らばって難しいけれどまた会って楽しく話でも出来れば、その場所が私がやろうとしている店舗なら最高だなと秋晴れの下、物思いに耽っています。 

オーロラ
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